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2006 Valentine special
恋せよ!少年!
ユウナは人気者だ。
大召喚士ブラスカの娘であるからってだけじゃない。
ユウナは可愛い。性格も良い。健気だし。前向きだし。
良いトコを上げたらキリがない。
初めて出逢って
召喚士なんて絶対に厳しい婆さんだ
って思い込んでたオレの予想をはるかに裏切ってたからとか
そんな贔屓目を差し引いても「ユウナは可愛い。」
オレだってモテなかった訳じゃない。
自慢じゃないがザナルカンド・エイブスのエースの座は伊達じゃない。
ガールフレンドは何人も居たし、レンアイのアレコレもそれなりに・・・・。
そりゃ、女の子の扱いに慣れてるとは言わない・・・けどさ。
ユウナが誰かから声を掛けられるたびにハラハラしてる。
大勢に囲まれて楽しそうに話すユウナを見てると無性にユウナをソコから連れ出したくなる。
手を掴んで走り出したらどんな顔するだろう?って思ったら勝手に体が動いてた。
「待って!まだお話の途中!」
ユウナの少し怒った声。困ってる顔。
ヤバイと思ってシドロモドロに言い訳をした。
「ごめんなさい。」と皆のトコへ戻ってくユウナの後姿にかなり後悔。
ユウナのガードになって、旅の仲間になって、彼女の傍に居ると辛いほどに心臓がうるさくて。
ブリッツの試合をハーフ無しでフル出場?ってそんな感じ?どんな激しいトレーニングした時よりも鼓動が速くって。
最初はマジで何か変な病気にかかってんのかって思った。
ガールフレンド達には感じなかったモヤモヤとしたこの気持ち。
あ~。オレ、ユウナのことがマジ好きかも。って思ったらくすぐったくて笑えてきた。
「顔がヤバイぞ。何かイヤラシイ事でも考えてたか?少年?」
我に返るとニヤニヤしちゃってるワッカの顔がまん前にあって焦った。
「何でもないっス!!」
「百面相だよね。さっきからさぁ。見てて飽きないけどさ。」
リュックもワッカの後からオレの顔を覗き込む。
焦って言い返すオレにワッカは「若いんだからしゃーねーべ?」と大声でガハハと笑う。
ブリザガよりも冷たいルールーの視線とキマリの可哀想なモノでも見るような眼差し
・・・・その先にはじっとオレを見つめるユウナ・・・・。
踵を返して逃げ出したオレの目の前が真っ赤になった瞬間ガンって音がして星が弾けた。
チクショ。おっさん。んなトコに立つなよ。
軽~く脳震盪。
アーロンの背中にぶつかって弾き飛ばされたオレ。
ブリッツでもタックルの当りが軽いっていつも言われてたんだよなぁ。
あ。凹んできた。
ムリに明るくしようと笑って誤魔化すオレに微動だにしなかったクセにアーロンの不機嫌そうな声。
「ちゃんと前を見ろ。」
ガキの頃、キャッチボールしててボールを落としたオレにからかったオヤジの声が重なって、心配してくれてたリュックに八つ当たり。
オレってサイテー。
「キミ、最近おかしいよ?どうかした?」
ちょっと心配そうな顔でユウナに見つめられた。
そんな顔させたのがオレかと思うとかなり凹んだ。
ユウナには笑ってて欲しいのに。
「ごめん。」って言い捨ててオレは走り出した。
頭冷そう。空回りしっぱなしじゃん。オレ。
「あ~あ。」
もぉさ、溜息しかでないっス。
「溜息を1つ吐くたびに幸せってヤツは1っ個づつ逃げてくんだ。アイツ等はやたらと足が速ぇんだ。知ってっか?ボーズ。」
親父が柄にもなく言ってたセンチな言葉を思い出す。
砂漠を走るサボテンダーをボーっとみながら幸せって案外コンナ顔してんじゃねーか?とか。
暴走してるサボテンの顔まではっきり見える俺ってやっぱブリッツ・エース?とか。
いや。動体視力の訓練じゃねーっス。
・・・・・ダメだ。何やってんだ。
今のオレをユウナはどんな気持ちで見てるんだろう?
変なヤツだって思われたかな?思われてるよなぁ。
これが情緒が不安定ってヤツ?
こんなコトならユウナを好きになるんじゃなかった・・・・・。
「あ~あ。」
本日、何度目か数えるのも忘れた盛大な溜息。
何時間ココに居たんだろ?
昼間の灼熱の砂の上と違って砂漠の夜は寒いんだってコトをすっかり忘れてた。
冷えてきた空気を肌で感じながら冷たくなった砂の上に座り込んだら、後から目隠しされた。
「だ~れだ?」
ティーダにとって、分からないハズがない、忘れられるハズがない声。
ユウナの温かい指先が頬に触れた。弾んだ息。
「急に居なくなるから。キミがなかなか帰ってこないし。」
「ごめん。」
小さい声で謝ったティーダの横にユウナが座る。
「すっかり寒くなってきたね。」
ユウナが笑ってちょっとティーダとの距離を寄せた。
近付くユウナの体温に騒がしく跳ね上がるティーダの心音。
「まだココに居る?」
首を傾げてティーダを見るユウナの片方づつ違う色の瞳が月明かりを受けて潤んで見える。
黙って答えないティーダにユウナは微笑んだ。
「一緒に帰ろ?」
ユウナの手がゆっくりとティーダの手に重なった。
ドキドキとうるさい心臓。モヤモヤと分からない気持ち。イライラと不安定な感情。
重なった指先から何処かへ溶けて消えていく。
あまりの単純さに自分で笑えてくる。
ティーダは勢いを付けて立ち上がるとユウナの手を引いて真っ直ぐに歩いていく。
繋いだ手をしっかりと握り締めて。
恋とか愛とかそれが一々どんなものか、オレまだイマイチ分かってないのかもしれない。
でも
心臓がうるさくても
気持ちがモヤモヤしても
感情がイライラと不安定になっても
キミを好きになって本当に良かった。
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こっそりと今年初アプ作品(遅;)ですので、お気に召して頂けたら幸いですw
2月14日までのお持ち帰り可作品にしようと思います・・・そんな殊勝な方いらっしゃるのでしょうか?
DLのみの方であれば特に報告は必要ありませんが、「貰ってやったぞw」と一言頂けたらマサトが大喜びします。
ネットなどで転載を希望される方は必ず「ウチで載せます」と一言お願いします。
スタイル/文字色変更可。書いた人の名前/文章を変えるは不可。壁紙は2次配布にあたるような持ち出し禁止です。ごめんなさい。
文章のみコピー&ペーストで持って帰って頂ければ、手っ取り早くていいかもしれません;