でも本当は。

 

 

好きな女と暮らしたい。

ただ、それだけ。

 

 

レイン。もう一度、君と会いたい。

 

 

 

5. 溶け合う温度

 

 

 

口の中がジャリジャリして気持ち悪くて、目が覚めた。

体の向きを返すとキラキラと眩い太陽と抜けるような青い空。

いつもと変わらない南国の風景。

「眩し・・・。」

白い砂に濡れた俺。

昨日の出来事を頭の中で思い起こす。

「そーなんだな。遭難だ。そーなんだ。遭難だな。」

繰り返す駄洒落交じりの言葉。

下らないコトだけど、頭の整理が付いて意外と良いんだな。コレが。

力の入らない体に活を入れる。

立ち上がると靴が片方なくなっていた。

乾きかけた靴下の砂がまとわりつく感覚がやけにうっとおしい。面倒なので裸足になってみた。

ついでにズボンの裾をまくり上げると普段日に焼けることが無かったスネが妙に白くて笑った。

目の細かい白い砂。歩き出そうと一歩踏み出すと重みのかかった分だけ、さわさわと足の甲を撫でてくすぐったい。

耳の中が湿っぽくて気持ちが悪い。小指で耳の穴を穿ってみる。水と砂が混じって爪の間に溜まる。

「う”〜。気持ち悪ぃ。」

片足で立って跳ねて、頭を軽く叩きながら水を耳から追い出す。

平衡感覚が怪しい、フラフラした足元はすぐによろける。ついでに頭がクラクラしてくる。

もう一度砂浜に寝転がる。

俺は死んでない。

まだ、生きてる。

両の手を伸ばし日差しを遮る掌をグッと力いっぱい握りしめた。

俺はキミを抱きしめたい。

 

「さて、生きてるからには生還したいと思うだろう!諸君!ところが残念なお知らせがある。」

 

「誰に言ってんだよ!」

 

小声で突っ込みを入れる。

モチロン周りに人なんて居ない。

それでも何か話してなきゃやってらんない時ってのがあるだろ?

食べ物を確保しようにもこの島に生息しているのは俺と虫くらいなもんで。

せめて喰える何かが生えてないかと探してはみたが観葉植物ってヤツはどーにもこーにも・・・。

魚でも釣ってみるかと思いきや道具がなければ餌もない。

水だけでも・・・と植物をパキリと折って僅かに染み出る水分を吸う。

火があれば海水を蒸留する方法もあったんだが・・・ライターはヤラレちまってる。

草をチューチュー吸っても補給できる水分は無いよりマシだが、たかが知れてる。

「虫じゃあるまいし・・・。」

うな垂れても見えるのは白い砂。

本気でヤバい気がしてきた。

どうしようもない。

少しでも体力を温存するためにせめてもの日除けと寝床を確保する。

「雨降んねぇかなぁ。」

何処をどーひっくり返しても雨なんて一滴たりとも降りそうに無い青空がヤケに忌々しい。

むさ苦しいアイツ等の顔を頭に思い浮かべ「速く見つけヤガレ!」と電波を送りフテ寝を決め込む。

 

 

あと何日持つかな?俺?

 

 

漠然と意識が朦朧として眠っては目を覚ます。

そんな日々を繰り返し数えるのも面倒で星空に映えるサザンクロス。

 

 

ふいに彼女の声が聞こえた気がした。

 

「ラグナっ!」

 

夢か妄想か。それでも構わない。

彼女が俺の顔を覗き込む。涙が・・・また泣かせちまった。

「ラグナ。」

恐々と手を伸ばす彼女の手を握りしめ

「会いたかった。・・・レイン。」

呟くように口を開くと重ねられた唇に零れ落ちた涙が潤いを伝えた。

海水とは違う濃度の柔らかな潤いが穏やかに俺を満たす。

掌が柔らかな感触を伝え、彼女の存在をゆっくりと俺の脳に示す。

そっと肩を引き寄せると僅かな抵抗も示さずに抱き寄せられる細くしなやかな体。

白いうなじに指を這わせその輪郭を確かめる。

お互いの体に纏いつき邪魔をする布を全て剥ぎ取り、体温を溶け合わせ彼女の全てを奪い去りたい。

ただ、そう思った。

濡れる瞳が恥かしげに伏せられる。

彼女もまた俺を欲しているのだと・・・。

柔らかな白い乳房にそっと触れる。

唇がなぞる俺の名前。高まる感情を抑えきれるはずもない。

全身全霊をかけて愛して已まぬただ一人の女性。

くびれた腰を抱きしめ何度も唇をむさぼる。

深く甘い吐息が漏れ彼女が両の手で俺を抱く。

背中を這うもどかしげな指。

のぼせた様に火照る肌に舌を這わせ彼女を味わう。

恥らうように震える体を逃がさないように包み込みほぐしていく。

しがみつくように絡みつく白い肌も、抑えた甘い吐息も、恥じらいとは裏腹に熱く体内へと俺を迎い入れる。

痺れるような官能も、蕩ける程の激しさも、全てが彼女そのものだった。

 

我ながら呆れるほどに饒舌なはずの俺が何の言葉を発することも叶わない。

 

言葉にならない。

 

この愛しい女の腕を一瞬でも放した俺は何物にも代えがたい大馬鹿野郎だった。

 

何度も何度も意識が途切れるまでお互いを貪った。

 

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お久しぶりです。続きモノでもこんだけ時間が経ったらなんにもなんねーなぁ・・・とか思いましたがポツポッと・・・しかし短いですな・・・^^;

今回話の展開上、微エロ表現がありますがヤオイサイト(←なのか?)として♂♀表現はどーなの?とか色々思案しつつ「まぁええか」といつもながらに適当に流しました。

この程度のエロ度では☆点けるのもどんなものか・・・;期待させたらスンマセン。

感想頂けると非常に嬉しいかも・・・v