※登場人物の名前は一部アリガチですら、多分どちら様の鯖にも居られると思いますが、全く関係ない方々ですw
アリガチな名前にする必要があったもんで…すみません;orz
随分長い間、フレリストの「オンライン」に上がらない名前。
その内の何人かは「最近人間関係に疲れて…」などと、冒険者を続けていく事に不満を漏らしていた。
けど、そのリストに名前の上がらないうちの一人は。
あいつはもっとあちこちで冒険へ行きたいんだと、そう嬉しそうに話していたのに…。
もう二度とリストに上がらない。名前。
以前あいつに会った時は、なんだったっけ…理由は忘れたけど、俺もブルー入ってた時だっんだ。殺伐とした気持ちを紛らわそうと、
生まれ育ったウィンに戻っていた時だった。
あまり自分から誰かと連絡を取るほうじゃなかったんだけど、たまたまサチコメに「一人遊び中」って書いてたんだ。自分から一人に
なったくせになんとなく、独りで居るのが寂しかったから…
Abel>>やほー、久しぶり。カエルっち今、ヒマ?w
いきなりTellが掛かってきた。
Abel<<カエル言うなwwまぁ、ヒマって言や、ヒマだで?
Abel>>んじゃ、ミカちゃんvお手伝いヨロw
Abel<<二度とtellしてくんな?^−^
Abel>>わーわーわーっ!!ミカエル様【ごめんなさい】!!
Abel<<で、何か用なんだろ?テレポか?
Abel>>いやー、巣の箱開け手伝って欲しくてさぁ。
そう言えば、アベルの奴はLvも50になったばっかりで、勿論独りで巣を歩き回るのはまだ危険だ。
そういう俺も奴と大してレベル差があるわけじゃないから、その点においては同じなんだけど。
Abel>>え?箱開けって。AFにしちゃ早くね?
Abel<<ああ、AFじゃないよ。ただカギを拾ったんだけど、邪魔でさww
なる…そういう事か。
他にも助っ人を呼んだほうが安全だったんだけど、その時はどうもそういう雰囲気じゃないみたいだった。
あいつが所属してるLSは皆仲がいい。レベル上げも固定を組んで皆とやってるって話だったし。
もう一人そのLSにアベルと共通のフレのミロクが居るけど、そいつの白も俺と同じくらいのレベルだったはずだ。
いつもはアベルはそいつとよくつるんで、あちこちへ金策だのレベリングだの行ってるのに…今日に限ってLSとは無関係な俺にtellを
よこしてきた。
…あいつも何かあったのかもしれないな。
ふらふらとウィン周辺を何をするでもなくほっつき歩いていた自分といい、今日は変な日だ。
青く晴れ渡った空がそんな気分にでもさせるのかね…?
俺たちはジュノで待ち合わせる事にした。
とはいっても、俺はデジョンでひとっ飛びなんだが。
そのまま合流してさっさとクロウラーの巣へ向かったまではよかったんだが…
どうも、先行して走り回る奴の挙動がおかしい。
どうやら道がよく分かっていないらしかった。
「なぁ、お前…もしかして巣の地図ないんじゃね?w」
「…ハイwアリマセンがなにか?wwww」
ってコノヤロw「何か?」じゃねぇだろが、そういう事は先にイエ。
「ば…っ、待て!そっちの蜂はアクだぞwww」
「え?」
しかも、スニしかかけてやってなかったのに、トカゲ広場の奥の蜂に真っ直ぐ突っ込んでいったアベル。どうやらアクティブな蜂を今まで
見たことがなかったらしい。
そして蜂に見事に絡まれたアイツ;
みれば蜂のやつは俺から見ても「とて」以上。二人じゃとても歯が立たない。
俺も速攻でエスケプを唱え出したんだが、エスケは詠唱が長すぎwwww
あっと言う間にアベルを倒した蜂は、魔法の詠唱が半分まで来ていた俺をプスっとやりやがったのだった。
…当然詠唱は中断されてしまい。デジョンも間に合わず。
そして案の定。俺たちはジュノのモグハの前に二人仲良く立っていたのだった。orz
しかも、アベルはその戦闘不能でレベルダウンまで食らいやがって、さらに装備まで剥がされていた。やっと着られるようになった
装備だろうに。
…なんとも白の俺としちゃやるせないな…。
あいつは「お前まで…」と俺に謝ってばかりいたけど、そんな事は俺にとってはどうでもいいことだった。
何のために白魔道士をやってんだかワケわかんねぇや。仲間や友達を哀しみや悔しさから守りたかったからなのに。
俺ってマジで一人じゃナンも役には立てねぇのなぁ。
「ちょっと待ってて、装備とってくるw」
そう言ってモグハの中に消えていったあいつの後姿を、俺は一体どんな表情で見てたんだろうか。
いかんいやん。俺が余計にブルーになってどうすんだよww
暫らくすると、奴はさっきとは違う装備を身にまとって現れた。
どうやら、レベルダウンも考慮に入れて前の装備は売らずに残していたらしい。
用意周到というかなんというか…。死ぬことを前提にしてんじゃねぇよw
まぁ、こいつらしいと言えばらしいけどな。
「ほんじゃ、もっかいw」
「あふぉかお前はwそれより箱開けすんなら地図が先ダロ。」
「あ、そっか。」
「粘土持ってきてるか?」
「あぁ、あるよ。持ち歩いてる。」
「んじゃ問題ないな。あと、何処が残ってるんだ?」
「ガル要塞奥と…どっちかのサルタw」
「まぁ、いいや。行ってみりゃ思い出すだろw」
と、そこまで話しすと、急にそいつは黙り込みやがった。
なんなんだよ、腹でも痛いのか?
「わるぃ。粘土クエはLSメンバーと一緒に回ろうって約束してるんだ。先越しちゃうと、妬みの一つも言われるだろうし…」
あ〜…なるほど。こいつもお人好しだからなぁ。皆に嫌な思いはさせたくないってクチだもんな。
「なぁ、そん時は皆と一緒に行きゃいいじゃん。」
「え…でも。」
「とりあえずさ、地図は今回手に入れとけって。別に地図を手に入れたのを皆に公言する必要なんてねぇだろ?ほんで皆と石碑を
回った時は回った時で、石碑の前で『げっつw』とか言ってりゃ誰も疑わんでしょうが?」
俺にそう言われて、アベルは暫らくぽかーんとした表情をしていた。
何をどう言われたのか、いまいち状況がよく飲み込めてないのか…?
そして、たっぷり1分はたった頃、
「……あ、なるwオマイあったまイイー!!(・∀・)」
あったまイイーじゃねっつの。
お前がお人好し杉なんじゃwww
納得がいったアベルを確認して、俺もちょっとほっとした。
当の本人も、その後はさっきまでの憂鬱が嘘のように、さも嬉しそうに石碑をめぐりを楽しんでいた。
レベル上げもクエも。
仲間と仲がよくて、一緒に冒険するのもイイもんだろうけど、何かと忙しいそいつにはちょっと負担になってたんだろう。
そう言えば、今日はLSのパールをつけてないな。
やっぱり、LS仲間と離れてちょっと息抜きがしたかったんだろう。
最後の石碑、西サルタバルタをほっつき歩いて石碑にたどり着き。
アベルが粘土に石碑の写しを取りに行っている間、俺は近くをうろついていたマンドラをタゲって後を付いて回っていた。
このちっこい生き物はよく動き回るので、結構ついて回ると面白い。時々散歩がてらにサルタへ来た時にやっているマイブーム。
俺のお気に入りの息抜きだった。
写しを取りに行ったにしちゃ奴の戻りが遅いなと思い、ふと周りを見渡すと。
なんと奴も俺の真似をして、マンドラの後をひっついて回っていたw
「なぁ。」
「あん?」
「これ、面白いなww」
「www」
俺も変わり者だって言われるが、こいつも大概変わってるなw
「最近さ…」
マンドラをじぃっと見下ろしながら、アベルがぽつんと言い出した。
「冒険以外の方(リアル)も凄く忙しくて。あんまりこっち(ヴァナ)に来れてないんだよね…」
そんな事は知っていた。
フレリストに何時だって名前はなくて、時々名前を見かけたと思ったら直ぐにリストから名前は消えていたからな。
聞けば、今日は2週間振りの休みらしい。
「それでもさ、皆俺の事待っててくれるんだよ。クエもそうだしレベル上げも。なんだか悪くて…それに、皆は口にしないけどなんとなく
急かされてるような気がしてさ。しばらくこんな調子が続きそうだしね…」
「…窮屈か?」
「どうだろ。皆イイヤツだし。」
敢えてそこだけは口にしないあたりが奴らしい。
「あっち(リアル)でかなり疲れてんだろ。こっち(ヴァナ)に来た時くらい息抜きしろや。」
「そう思って、今日はあんたにtellしたんだよね。あんたって見た目よりまた〜り遊ぶの得意そうだからさww」
「見た目より、が余分じゃぃw確かに、無駄に時間を過ごすのは得意だがな。」
「ダロ?w」
にやりと笑ったそいつの表情。でも、それでも疲れの色が見えたような気がしたのは気のせいじゃなかったと思う。
いつでも明るく振舞っていて、ムードメーカーにPTリーダーにと、周囲に気配りの出来るこいつ。以前は俺も何度かPTに誘われた事が
あるから知ってるが、こいつの組むPTはいつだって居心地がよかった。
フレとしちゃそこそこ長い付き合いだが、でも今日みたいに自分から打ち明け話をするような、こんなこいつは初めてだった。
いつもなら、他愛のない話題を上手く振って話をかわしたり、すっとぼけたようで実は周囲の人間をよく見ている。その場の雰囲気を
感じ取る能力が高いってのも…こんな時にはやっかいなもんなんだろうな。
こっち(ヴァナ)に来ても疲れるのはそのせいだろう。
だが裏を返せば、そいつがこれだけ疲れ感じてるって事はそれだけ内側にストレスなりを溜め込んでるって事だ。
「ほんじゃさ。取って置きの『また〜り』を紹介してやるよw時間食ぅけど、平気か?」
「おお!いいねぇ。今日だけは時間あるんだw」
「おっし、きまりww」
そう言うなり、俺はホラの詠唱を開始した。
「粘土、届けにいくぞw」/grin
「へ?」
届けに行んだよ。あのセルビナのジジィに。
今日、二回目のセルビナ行きだ。
ホラ岩へつくと、きょとんとしたアベルが俺を見て言った。
「で、どうやって『また〜り』すんだ?」
「歩くの。」
「セルビナまで?」
「そ。」
「そんな事、チョコボ代ケチっていつだってやってるぞ?」
「そりゃ『走って』んだろ?」
「うん、そう。」
「だから『歩く』んだよ。」
「歩く???…………セルビナまで?」
「そそ。」
「………………………………まじ?」
「まじ。ほんとの散歩は歩かないとな。だから、時間食ぅっつったろ?w」
「うほwwww究極のまた〜りキター!!!散歩!ステキ!!(・∀・)」
そう言うなり、「散歩だったら、ミカンも一緒にw」とかぬかして、アベルの奴はコールワイバーンのおまけつき。
お祭りってあれでもないんだが…ただ歩くだけだし。普通だったら面倒臭がられてはいお終いって事にもなりそうなくらい、呆れられて
当然のこの企画に、アベルときたらかなり乗り気らしかった。
まぁ、提案した側としては却下されなくてすんだわけだがw
それから俺たちは「徒歩」でセルビナまで歩きはじめた。
いつもならチョコボで走り抜けるだけの風景が近く感じる。
足元に咲く花の一つ一つが見えてくる。
冒険者をはじめた頃は当然チョコボになんて乗れないから、自分の足で歩くなり走るしかかなったもんだ。そんな頃はヒーリングする
時なんかでも足元の花にも目をやる余裕があったのに。
今ときたら効率ばっかり追っかけて、こんな遊びでもやってないと、本当に綺麗なこの世界のよさを見落しがちだもんな。
このレベルまでジョブを上げたからこそ、ゆっくり出来る事だってあるわけだし、そんな時間の過ごし方をしたっていいはずだ。
と、俺は信じてほっつき歩いているワケだがねw
「ゆっくり歩くと、見えるものが違うね〜」
後ろから明るいアベルの声がして振り返る。
やつは空を仰ぎながら歩いていた。
こけるぞw
「やっぱり雲って流れてんだよなぁ…」
「あったりめぇだろ?w」
「まぁねwでもさ、そんな事も忘れてたよ。なんか、すっげー気持ちいいわw」
そう、それなんだよな、感じて欲しかったのはさ。余裕がないっつか、そんな自分に疲れてたんダロ?
なぁ、アベル。…深呼吸できそうか?
それが出来たら、この『また〜り』にも意味があるってもんだよな。
それから俺たちはラテーヌを抜け、バルクルム砂丘に入った。
白く光を反射する砂に目が痛い。少ない日陰を選んで進む。
必死に戦ってる12才くらいからのレベル上げPTの横を何組も素通りして、ちょっと白い目でみられたりもしてたけど、それもまた
微笑ましくて懐かしい風景に見えていたから、そんな視線もなんとも思わなかった。
てくてくと、唯ひたすらに歩く二人。
傍から見りゃ、あふぉが二人ってトコだろなw
そして、とうとう俺たちはセルビナまで本当に歩き切ったのだった。
そして、アベルは無事にクロ巣の地図を手に入れた。
クロ巣の箱開けリベンジはというと、呆気ない程簡単に終った。
ライバルもいなかった上に、箱のPOPポイント一箇所目にして目的のチェストを見つけられたからな。(コッファーじゃなかったんだw)
そして中身は…ギルだったw
結局二人で山分けって事になっちまったワケだけど、よかったんだろうか?
あいつ、確か狩人も上げてるから俺より貧乏なはずダゾww
そして。
ジュノに戻り、俺たちは分かれた。
それから何回あいつに会っただろうか…
多分、競売前とかでバッタリ顔を合わせたのが一度か二度。立ち話もあまりする時間もなかったように記憶してる。
そして更に、まったくあいつをフレリストで見なくなって…もう1年近く経とうとしてたときだった。
あんなにこっちでの冒険を楽しみにしてた奴だったけど、もしかしたら、あっちが忙しすぎて冒険者も引退したのかもな。
そんな風に思い始めていた、そんな時だった。
あいつと同じLSのミロクと会ったのだ。こいつとはそこそこ立ち話やなんだで顔を合わす度によく話し込んでる仲だった。
用もないのに冷やかしのtell入れてきたりなw
ミロクはあっちでもアベルとは会った事があるって言ってたし、マメに連絡もとってるって随分前に聞いた事があったから、もしかしたら
奴の事も知ってるかと思って…
今思えば、そんな立ち入った事聞かなきゃよかったんだ。
「アベルの奴、最近見かけないけど元気してる?w」
そんな簡単な問にも、ミロクは答えてくれなかった。
いや、そうじゃなくて。躊躇ってた。
「…その事なんだけどさ。」
長い沈黙の後、ミロクは重い口を開いた。
そして、俺は衝撃の事実を知らされたのだった…。
アベルはもう二度とこっちの世界には来られないのだと。
だがその理由は『引退』ですらなかった。
自分の意志とは関係のない、ある意味全くの自然現象。原因は「過労」だったらしい。
――俺よりも若かったのに…
何時の事かと聞くと、もう半年も前の事だとミロクは言った。
「…ごめん、黙ってて。」
「いや、言いにくかったのに。教えてくれてありがとう。」
お互い、それしか言えなかった。
多分、生半可あっちでも知り合っちまったミロクは俺なんかよりももっと辛かったはずだ。
お互い会ってみて、尚且つ気が合うって喜んでたからな…。
だから、俺なんかにあいつのことが言えなくても、それは当然だったと思う。
…ホント、よく教えてくれたよ。
それから、俺はモグハに戻って人知れず泣いた。
それから、更に一年が過ぎた。
俺が自国に戻ろうと、ジュノの港の船着場で船を待っていた時、ふっと横に立った人物の名前が目に付いた。
その名前は「Abel」。
――あいつの名前だ。
だが、それは当然だけど全くの別人だった。
強いて言うなら、名前と種族と性別が同じってだけ。
竜騎士と狩人を上げていたあいつに対して、その人物は見るからに高レベルの後衛職特有のエラント装備を身に纏っていた。
多分、横に立つこのヒュームは知らないんだろうな。同じ名前の奴がかつてこの世界に居たなんて。
別に名前に未練があるわけじゃないんだから、俺が気にすることなんてないはずだったんだがねぇ。
でも、俺のどこかで理不尽な声を上げる部分がある。
『その名前はあいつのだ!取らないでくれ!!』
そんな事、誰にも言えないのにな。言う権利もないやな。
それに。俺があいつを忘れなきゃいいだけの事だもんな…。
あいつとの思い出を。大事にしてればさ。
――そんな事すら、実は自己満足でしかないのは知ってるけどナ。
感傷的杉なのもどうよ?
あれ以来、誰とも「散歩」はしていない。
あ。俺、また泣きそww
fin.
壁|・`)<…
※壁紙のマンドラたんはスクエアーユニックス様のものです(・∀・)
--------------------------------------------------> fin. >close